喪ったひと

大事な友達が亡くなったという報せを受けました。心の調子を崩していた彼女とはずっと会うことができなくて、仲間うちでも連絡がつかなくて、人づて人づてに近況をさぐって届いた話。だからほんとなの?嘘じゃないの?って気持ちが拭いきれないけれど。


家には今度彼女に会ったら渡すはずだったものがたくさんあって、いやCちゃん居るでしょ?って気がしてしょうがないのに、頭のどこかでは覚悟していた自分もいて。最後に会った時、「また遊ぼうね」と言いながら、ああでもこれが最後のような気がする、「次」はないんじゃないかって気がなんとなくしていたから。


彼女とは「わかるわかる!」っていう部分が多くて、よく話してました。

死にたいんだよねって話をしました。でも死にたいっていうよりは眠りたいんだよねって話しました。消えたいんだよねあははって話してました。それはなかば冗談の笑い話。

意味なく生きることよりどうして意味ある死の方を選んじゃいけないの?でも薬で病気を散らすみたいに、傷のなめあいでも慰め合いでもいいからそうやって誤摩化していけばなんとかなるんじゃないかと思ってた。


たとえば買い物したりライブに行ったりカラオケしたり遊んでみたり、我に返れば虚しくなってしまうようなことにくだらなくわざとはしゃいで、何かにつけみっともなく一喜一憂して、年がいもないことをたくさんやって、夢中なふりをするだけであったとしてもそういうものをつなげていけばこれから先も生きていけるんじゃないかと思ってた。


でもそんな想いを話せた人はいってしまって、取り残されてしまいました。


同じようなこと話してたのに、こんなみっともない私は生き残ってしまって、でもきっとこの先もどうしょうもないことをいっぱいやってすがりついて人に迷惑かけて醜態晒しながら生きていくんだろうと思います。


あたしはそんなふうに図太いから、なんだかんだ言いながらも見苦しく色んなことに手を出して、追っかけて、そうしたらギリギリで大事なものに出逢うことができました。世の中うまくできてるんだ、だから彼女にもミラクルなことがきっと起こるから、今苦しい思いをしたぶんまとめて幸せがくるから、それまで死んじゃだめだよと言ってました。具合がはかばかしくなくなくなっても彼女は私のことを励ましてくれて、あたしはちゃんと追いかけたものをつかんで彼女に見せたかった。どうしょうもないこと言ってたけどあたししあわせになれたよ、だからほらしあわせになっていいんだよって言いたかった。だから頑張ってって、希望を見せたかった。しあわせになりたいよねって一緒に話してた人だったから。

恋話もたくさんして、やっぱり思うことは似ていて、SILKはわかってくれるから嬉しい、それからSILKを大事にしてくれる人と出逢ってほしいと言ってくれました。だからいつかすごく好きな人に大事にしてもらえるときが来たらちゃんと紹介したかった。もう彼女に何をすることもできない、彼女と何をすることもできないということが信じられません。


最後に何話したっけと思い出してみれば、きっと電話で話したのが最後の会話。今度会ったら渡したいものがたまってるんだよと笑って話して、Cちゃんはしばらく辛くて外に出られないし家まで会いにきてもらっても難しいと言ってて、いいよあたしずっと待ってるから、と言ったらうんと言ってくれました。


その時嬉しそうに笑ってくれた彼女の声を覚えてる。



泣けばいいのか喚けばいいのか悔しがればいいのかわからないけど、でもあたしは今でも、彼女に希望を見せたい。残ってしまったあたしは、みっともないあたしは、今でも、一生懸命追いかけて、ちゃんとつかんで、ほらって言いたくて彼女にやっぱり笑ってほしい。それはもう、現実では会えなくても関係ない気がするんです。


ほんとにいってしまったのなら、眠りたいと言ってた彼女だから。
せめて幸せな夢の中にそのまま入っていったのだと思いたいです。


女は、生き残って。戦い続けなければならないのですよ…って書いた矢先の、こと。
そして遺された人間はこれから何かを乗り越えていかなければ、なりませんね…